「言いたい放談」<7>(2007年7月6日)
♪笹の葉さーらさら、軒端に揺れる・・・、明日は七夕です。でも、梅雨の真っただ中なので、織り姫と彦星はたいてい出逢えません。笹にぶら下がった願い事はいつも涙を流しています。
しかし、七夕とは本来、旧暦の7月7日のこと。約ひと月送れとなり、満点の星空を仰ぐにふさわしい季節になるではありませんか(ちなみに今年は8月19日)。
そもそも、旧暦とは中国から伝わった太陰太陽暦のこと。一年の長さは地球の公転周期に、その日付は月の満ち欠けに合わせました。したがって、何月でも1日は新月、15日は満月となります。ただ、月の朔望(さくぼう)周期は29.5日なので、一年で10日ほど縮まります。そこで、ほぼ三年に一度、閏月を設けたのです。
冬至や春分点をもとに一年を24等分して、立春、雨水、啓蟄、春分、清明・・・という二十四節季を設け、立春と雨水の間に来る新月の日を元日にした旧暦は、日本の歳時記にしっくりとそぐいます。3月3日に桃が咲き、5月5日に菖蒲湯に入り、7月7日に天の川を仰ぎ見る。落語を演ずる上でもこの感覚は大事。例えば、お正月は梅の咲き出す初春の華やぎを頭に描いてしゃべるのです。
ところが明治5年、クリスマスの8日後を年始とする西暦(グレゴリウス暦)を採用した時に、七夕などの節句を西暦の日付に合わせたため、約ひと月早い行事が生じてしまいました。
私は旧暦が世界基準になればなぁとかなり本気で考えています。それがかなわぬ今、せめて節句だけでも旧暦で祝いませんか。日本の伝統を忘れぬために。