小米朝流「私的国際学」<21>(2001年5月26日)

JR難波駅前の大阪シティエアターミナル(OCAT=オーキャット)は、関空までシャトルバスでつなぐ大阪ミナミの新名所として人気を博すはずだったが、開業以来ずっと赤字にあえいでいる。このビルを管理しているのは㈱湊町開発センター。第三セクターの典型だ。現在、国際線チェックインカウンターの利用客は一日20人足らず。大空にはばたくのは閑古鳥だけ・・・。

ところが!この会社、別の所で脚光を浴びつつある。OCATの地下1階、ポテ広場(イタリア語で〝橋〟という意味)に連日連夜、若者がカセットデッキを手に集まるのだ。そして、広場のあちらこちらで踊り出す。ジャズダンス、ロック系、アクロバット・・・。そう、今、ここはダンスの稽古場と化している。というのも、御影石でできた壁や金属のオブジェが鏡がわりになるからだ。自分の姿を見ながら踊れるとあって、口コミでダンス仲間に広まった。

週末ともなると、見物客も増え、かなりの人数になる。普通なら「通行の邪魔になるから」と追い出すのだが、この会社は違った。しかも、会社主催のダンス・コンテストまで開いたのである。

ある夜、専務がほろ酔い気分で彼らに話しかけた。「ポンテ広場に何か要望はないか」との問いかけに、「本当の鏡があったらなぁ」との答え。翌日、壁に大きな鏡が取り付けられた。

この三セクはすごいぞ・・・。広報宣伝室の柴生謙一氏は言う。「OCATは、旅の情報だけではなく、文化情報の発信基地でもあるんです。若い人たちのエネルギーがあふれる場になって、嬉しい限りです。あ、もちろん本来の業務でも頑張ってますよ(笑)」

私は、国際都市オーサカの先鋒をポンテ広場に見た。今年の夏もコンテストを開くとのこと。我と思わん方は応募されてはどうかな。