桂小米朝の「新・私的国際学」<12>(2003年6月22日)
今日は夏至。一年で最も昼が長い日である。明日からは日が短くなってゆくのだ(そう考えると気ぜわしいねぇ)。ところが、なぜか夏休みのころのほうが昼間が長く感じる。6月が梅雨であるため、日照時間が短くなることが一つの理由であろう。
ちなみに「つゆ」とは元来「露」のこと。それに「梅雨」の字を当てた。梅の実が生る季節に降る雨だからだとか・・・まことに風情のある当て字だ。そこから音読みの「梅雨前線」という呼び名も生まれた。
この時期、太陽の恵みは少なくなるが、恵みの雨が大地を潤し、植物を育て、ホタルまで飛びかわしてくれる。梅雨が明け、七夕(今年は8月4日)には満天の星を仰ぎ見る・・・。日本独特の歳時記だ。
それはさておき、昼夜の長さの変化はなぜ起きるのか。それは地球の軸が少し傾いているからなのである。地軸が公転面の垂線に対して23.4度傾いていることにより、赤道付近以外は昼夜の長さが変化し、四季が生じるのである。もし、地球が垂直軸で自転していたら、いつも春分の日(もしくは秋分の日)状態となり、季節の変化も望めなかった。
水田耕作も文学も生まれなかったかもしれぬ。宇宙の創造主(神のおぼしめし)に感謝せずにはいられない。
わずか23.4度の傾きが、地球にさまざまな人種や文化をもたらしてくれたのだ。民族紛争が解決せぬ原因は、この大いなる創造主の恵みをわざと見ぬようにしているためではなかろうか。
例えば、自分たちの宗教の正当性を押し出して、パレスチナの四つの地域を占領し続けることは戦争終結の道とは正反対の行動だということに早く気づいてはどうか。真のグローバルな物の考え方とは、地球に人工衛星を張りめぐらして一網打尽にすることではなく、科学の力を駆使して相手を思いやることだと思う。
本日夏至。北極では白夜。逆に、南極はまっくら。南半球は冬、すなわち〝冬至〟である。