2010.08.21 「芸人は旅人」
旅芸人という言葉がありますが、芸人ってホンマ旅人やなぁと、近頃つくづく思います。お蔭さまで全国各地から(ときには海外からも)お声がかかり、そこへ行って笑いを提供して喜んでいただく。舞台がはねたら(終わったら)地元の人達と地酒を酌み交わし、郷土料理に舌鼓を打つ――。まさに至福のひとときです。
しかし、昨今、交通網が発達したお蔭(?)で、泊りの仕事がうんと減りました。福岡の落語会でさえ、その日の内に大阪まで帰って来れてしまうのです。たとえ泊まりの仕事であっても、仕事の効率が優先されるため、現地でゆっくりする時間はめったに組み込まれません。例えば飛行機で現地の空港へ飛び、迎えのタクシーで落語会の会場へ。着くなり舞台チェックをして、ほどなく本番。終わるとお定まりのホテルで乾杯して、就寝。翌日はまた早々に空港へ行って、帰阪――。この繰り返しなので、どこへ行こうが新鮮味が無くなるんですよね。
私はこのマンネリから逃れるため、隙あらばどこかへ行こうと企んでいます。最近では南光兄さんとの二人会で別府へ行った時、会場に到着してから本番まで2時間ほど空き時間ができたので、「すみません、ちょっと温泉に入ってきていいですか?」と了解を取り付け、総合案内所へ。そこで薦めていただいたホテル白菊に行くと、そこの女将さんが「今から落語会に行くところでしたのよ」。おぉ、何というめぐりあわせ。それが縁で、楽屋見舞いまで頂戴する運びとなりました。
ちょっと寄り道すれば新しい発見があるという信念のもと、私は今なお、なるべく多く実行しようと心掛けています。例えば北海道の会の時は札幌在住の噺家、桂枝光くんに教えを乞い、美味しいラーメン屋や回転寿司屋でリーズナブルに最高のネタを味わい、例えば福岡の会では前日に博多入りして長浜の屋台を満喫し、翌日は櫛田神社にお参りしてから会場入りするというスタイルを通しています。
この夏、秋田で新発見!(続く)