2010.08.22 「田沢湖~乳頭温泉」
この夏は、秋田で新発見がありました。落語会の翌日、朝の飛行機で帰宅するのはもったいないと、事前に夕方の便に切り替えてもらい、レンタカーを借りて田沢湖までクルマを走らせました。何しろ私は日本一深い湖、そして透明度の良さを誇り、最近は韓国ドラマ『アイリス』の舞台として一躍おばさま方の人気スポットになった田沢湖を一度も見たことがなかったもので…。
クルマを走らせてすぐ、私は秋田の景色の美しさに感動を覚えました。森と田圃と住宅がきっちり区別されているのです。しかも、森林は綺麗に手入れされ、路肩には黄色とオレンジ色の草花が整然と植えられ、ともすれば荒地になりそうな空き地にはひまわりの花が一面に咲き揃い、見る者の目を和ませてくれるのです。
ヨーロッパみたいや! 秋田の人って綺麗好きやねんなぁ…。しきりに感心しながら一時間ほど田園地帯を走った時、突如、目の前に田沢湖が現れました。まぁ、その美しいこと!水が青いのです。そして、その青さが周りの山々の緑と見事に調和して、とても穏やかなハーモニーを奏でているのです。「琵琶湖より綺麗!」、関西人の私は思わず、そう呟きました。
湖畔の宿ならぬ、湖畔の麺類屋「米っこ麺の店」に入ると、秋田美人(だった人)が一人で店を切り盛りしていました。背がスラッと高く、細身の色白で、笑顔がとても美しい。これで、あと30歳若けりゃ言うことないという女性のもてなしを受け、たつこ像の前で写真を取ってもらい、湖の北側にある御座石神社へ行き、参拝。
さぁ、次はどうしたものかと、ふと道路の案内板を見ると、「乳頭温泉まで12km」の表示。乳頭温泉という字面と言葉の響きだけで、そこへ行きたくなってしまいますよねぇ…えっ、そんなことはないって? そう思うのは私と南光さんぐらいやって? 誰ですか、そんなこと言うのん!
実は田沢湖高原の奥、乳頭山の麓に湧き出る温泉地だから、乳頭温泉というのだそうです。ただ、何故、その山が乳頭という名前になったのかはご想像にお任せします。そこには、それぞれ泉源の異なる7つの温泉があり、1500円の帳面を買えば、全ての温泉に入ることができるのです。しかも、その手帳の有効期限は一年間。なんでそんなに詳しいのかって? そりゃ、購入したからですよ。はい、早速、温泉巡りをいたしました。一風呂15分で湯めぐり敢行。いやぁ、気持ち良かったです。温泉の色と温度はさまざまで、澄んだお湯やら、乳色のお湯やら…。うち、3ケ所はとても気に入りました。それがどこかはご自身でお確かめあれ!
私のふらっと行く旅《田沢湖編》はいかがでしたか。地図を眺めていると、秋田県はほかにも行きたい所がなんぼでも出てきます。秋田に限らず、東北は行きたい所が山ほどあります。というのも、われわれ関西の芸人はあまり東北に行く機会を持たないからです。旅費を考えた場合、大阪の噺家を使うより、東京の噺家を使ったほうがうんと安くつきますからね(交通費は半分で済むし、日帰りも十分可能)。
これまではあまり知らなかった東北を、これからどんどん体験しようと思った次第。まずは秋田(田沢湖~乳頭温泉)を満喫し、意気揚々と帰ってきたら、妻がボソッと「この夏は結局、家族旅行、でけへんかったね」と呟きました。すかさず私は「実は今日、下見してきたんや。近々、秋田へ連れて行こうと思て。めっちゃええで!楽しみにしといてな」。