2011.03.09 「人間国宝は肉食」
ここ数日、父はあまり食べなくなり、酒の量も少なくなり、タバコの本数も減ってきたぞと心配していた今日──、とことん食べはりました。
今日の献立は、鶏のクリーム煮、牛肉と蓮根の煮あえ、イイダコのうま煮、味噌汁、そして白ごはんの予定でした。 私が弟子の團治郎に、 「このところ大師匠は食が細くなってきたさかい、色んなものを並べてちょっとずつでも好きなものを摂ってもらおう」 と、急遽、鍋に冷やごはんと塩を入れ、水を張ってグツグツと加熱。 お粥さんを作りました。 傍に、米左君が東京土産で買ってきた 「よこすか海軍カレー」 が一箱残っていたので、これも作ろうと加熱。 テーブルには沢山のご馳走が並びました。
長い長い昼寝から目覚めた師匠──。 初めはただただ料理を眺めるだけでしたが、味噌汁を一口飲んだ途端、あれよあれよと言う内に色んなお皿にどんどん箸が伸びて行くではありませんか。 白ごはんとお粥さんのお碗を両方差し出すと、お粥さんのほうを取りはった。 梅干しを散らすと、ちりれんげでパクパク食べはります。
「ええっ、クリーム煮の鶏の固まり、切らずにそのまま頬ばるの!」 今度は箸でグリーンピースを器用に摘まんで口に運びます。パッパッパッと連続三回! まるで、蛙がハエを食べるが如く…失礼。
「あ、カレーのルウも食べはるんや。 あっ、汁が膝掛けに垂れたで。 あぁ、またそれをすくって舐めてはる!」。 牛肉と蓮根の和え物は大好物。 一番に器の底がが見えました。 蛸のうま煮にはなかなか手が出ません。 そもそも大師匠はイカやタコが苦手です。 おそらく手付かずで残しはるやろなと思いきや、 「あっ、手が出た。 しかも二切れ続けて。 これは自己ベスト」。
無駄口一切叩かずに、約40分ほどかけて、イイダコ以外、完食しはりました。 人間国宝まで行く人は総じて肉食系ですね。 デザートのイチゴもガッツリと──。 実に見ごたえのある晩餐でした(^0_0^)