2012.01.27 「ロボット博士に出逢う」
26日(木)、ひょんなことからロボット博士とお食事をする機会を得ました。大阪大学教授で工学博士の石黒浩さんです。石黒先生と言えば、現代版ロボット研究の第一人者です。人間とそっくりのロボット、いわゆるアンドロイドの製作にかけては第一級の腕前。ご自分にそっくりなロボットを作られた時は大きな話題を呼びました。また、最近は演出家の平田オリザさんとともに「アンドロイド演劇」という分野を開拓され、現在世界中から注目を浴びておられる方なのです。
でも、私は根っからのアナログ人間。「正直言って、人間そっくりのロボットなんて、気持ち悪いよ」と、あまり関心を持ちませんでした。石黒先生にお逢いするまでは…。でも、先生と逢って3分後には、負のイメージが払拭されました。これはかなり凄い…!
今までのロボットと違うのは確実に人間に似ていること。しかも、単に口や目だけが動くのではなく、皮膚も連動して動くので、とてもリアルに見えるとのこと。実際、石黒先生はご自分のケータイ(スマホ)でご自身の動画サイトを呼び出して、私に見せて下さいます。話が早い。そして、よく分かる!
これからの構想はロボットをどんどんエンターテイメントに活用することだそうです。アンドロイド演劇もその一つ。ロボットと対話したり、ロボット同士が芝居をしたり…。チェコやオーストラリアでは大好評だったそうです。特に、リンツの大聖堂での公演では、感動のあまり涙する人が続出したとか。「主人公がとても美しく、マリア様が降りて来られたかのようだった」と。
石黒先生いわく、「自分が良しと思うデータを打ち込んでやれば、ロボットは絶対に失敗せず、常にそのプログラム通りの完璧な仕事をします。舞台芸術においては、人間より美しいのです。人間は老いて行きますが、ロボットは老いません」。一瞬、文楽とオーバーラップしました。
二人の飽くなき話は続きます。場所は大阪・西梅田のサンケイ・ブリーゼ・タワーの最上階(33F)にあるビストロ「ブノワ」。大阪の夜景を眺めつつ、上質の赤ワインに酔いしれながら、話はこれからの行政の在り方にまで広がりました。独立行政法人という枠組みは往々にして科学技術の発展の妨げになるという話など、とても面白かったです。
最後に先生が「米團治さんも自分そっくりのロボットを作りませんか? カネはかかるけど、いつまでも完璧な米團治が表現できますよ」と仰ったので、「いやぁ、私はちょっと遠慮します。完璧には程遠い人間ですから」と答えておきました(^o^ゞ
でも、世界のどこを探しても、ほかにはちょっとおられない先生です。アンドロイドを除いては…。滋賀県高島郡高島町の生まれ。子供の頃に“くいだおれ”の人形を見たのがロボットに興味を持つようになったきっかけ。次に“鉄腕アトム”にのめり込み、気づけばロボット作りを生業(ナリワイ)にしていたそうです。「平成のお茶の水博士」と言えるかな☆☆☆ 興味のある方は、動画をご覧あれ! http://jp.diginfo.tv/ROBOTICS/