2014.08.04 《国立文楽劇場と難波神社の繋がり》
3日(日)、大阪・日本橋の国立文楽劇場で文楽を観ました(^0_0^)
大阪が生んだ世界に誇るべき文楽。浄瑠璃語りの大夫と三味線と人形遣いが一体となって織りなす人形浄瑠璃──。
浄瑠璃作者の大家、近松門左衛門が活躍した元禄期(17世紀)には一人遣いの人形しか無かったものの、享保年間(18世紀)に三人遣いが考案されて大いに栄えました。その後、芝居小屋が次々と無くなり、衰退しかけた人形芝居を助けたのが、淡路島出身の植村文楽軒。私財を投げ打って、稽古場や芝居小屋を開設。文化年間(19世紀)に二代目の植村文楽軒が難波神社の境内で人形浄瑠璃の興行を始めたことから、「文楽」という名前が定着したのだとか。
その大阪に国立文楽劇場ができたのが、ちょうど30年前。毎年夏には「夏休み文楽特別公演」と題する、入れ替え制の三部公演が開かれてきました。
なかでも、第1部は「親子劇場」という子供向けのプログラム(*^ ^*) 今回は次の通り。
実演『かみなり太鼓』
解説「ぶんらくってなあに」
実演『西遊記』
最初の番組は、落語作家の小佐田定雄さんの脚本となっており、小佐田先生ご自身からも「できたら、ご覧を」と連絡をいただいていたのです。
ようやく時間を作ることができ、慶治朗とともに文楽劇場へと参上。着くなり、びっくり。チケット売場が長蛇の列なのです。劇場の方も「今日は日曜日ということもあり、嬉しいかぎりです」とニコニコ顔(^ー^)
文楽劇場にこんなに沢山のお子たちが来るなんて! 私も嬉しくなりました(^0_0^)
我々もなんとか最後部の補助席に座ることができ、いざ開演──。
小佐田定雄=作
鶴澤清介=作曲
桐竹勘十郎=演出
望月太明藏=作調
『かみなり太鼓』
いやぁ、とても分かりやすく、楽しい作品でした。子どもだけではなく、大人の笑い声も劇場内に響き渡っておりました(^ー^)
それに続く「ぶんらくってなあに」──。この日は豊竹芳穂大夫さんと吉田簑紫郎さんによる解説。これも親しみやすい内容で、充分楽しめました。舞台に上がり、人形遣いに挑戦することができた三人の子どもは大喜び(^0_0^)
公演が今月4日までというのが勿体ない気持ちになりました(^-^ゞ
ただ、今回、二つほど提案というか、個人的に感じたことがありました。
一つ目は、「文楽の舞台に、果たして日本語の字幕って要るのだろうか」という疑問。
ただでさえ(いや…おカネは要りますが)プログラムには床本が付いているのに、ましてや子ども向けの作品にまで字幕を付けたのでは、笑いのポイントがズレたりして、本当の面白さが伝わりにくくなるのではと思った次第。
もう一つは、男子トイレに子ども用の小便器が無いこと。
小便器に届かない子は、仕方なく少ない数の個室の前に列を作って待つことになります。「子どものための公演と言いながら…」とボヤいていたお父さんの姿が印象的でした。
それから、もう一つ。別の日に観に行った米輝が言うには、真後ろの子供がイヤホンガイドを付けていて、耳から聞こえる情報をそのまま声に出して喋っていたのだとか。しかも、隣の母親はあまり注意する様子もなく、周りは迷惑がっていたとのこと。
私がそこにいたら、その子供に直に説教していたことでしょう。躾の仕方も含めての“親子劇場”だと思います。
そもそも、子供用の作品にイヤホンガイドを付けること自体、蛇足であるように思うのですが…。
まぁ、いずれにせよ、それをはねのけて余りある楽しさがありました。大当たり!「親子劇場」(^o^)/
私は仕事の関係で、その後の『西遊記』は観ることができませんでした。残念! 米輝が言うには、最後は人形が客席の宙を飛ぶ“大スペクタクル”だったとのことです↑↑↑
さて、その足で私は博労町にある難波神社へと向かいました。参集殿で催されている第19回「難波神社寄席」に出演するために(^0_0^)
この会は桂文喬さんが年4回のペースで開いておられる落語研究会です。
境内に入るなり、気づきました。「あっ、ここは植村文楽軒が人形浄瑠璃を始めた場所や」と☆
文楽つながりで、心地よい気分のまま、お参りを済ませました(^人^)
仁徳天皇(ニントクテンノウ)と素盞鳴尊(スサノオノミコト)が祭られている本社。左側は倉稲魂尊(ウガノミタマノミコト)が奉られている稲荷神社。
西門横の金刀平神社の御祭神は大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)。
境内の東南角にある十四柱相殿神社には天照皇大神・豊受姫大神・猿田彦大神・罔象女神…など、十四柱が祭られ、とても神々しく感じました。
考えたら、船場には芸能と深く関わる神社が沢山ありますね☆☆
「イカスリ神社」とも言う坐摩神社は、初代桂文枝が寛政年間に初めて寄席を開いた所。
三年前には顕彰碑が建てられました。
天照皇大神の荒御魂を祭る御霊神社は、繊細な写し絵「錦影絵」の専門の小屋があった所。また、明治期にはここでも盛んに文楽が開かれていたそうです。
薬の神様が祭られている少彦名神社には、谷崎潤一郎の「春琴抄」の石碑があります。
5日の近鉄アート館での朗読劇に向けて、すでに参拝済み(^人^)
そして、植村文楽軒により人形浄瑠璃が開催されていた難波神社──。
落語会も大入満員(^ー^)
『大安売り』 飛梅
『やかん』 笑丸
『天狗裁き』 米團治
『宿屋仇』 文喬
文喬兄さんはネタ下ろしの『宿屋仇』を熱演(^0_0^)
ご来場、まことにありがとうございました(^人^)
芸能発祥の地の大阪で、もっともっと自分の使命を果たして、次代に上方文化を伝えて行かなあかんぞと、決意をあらたにした次第☆☆☆