2017.12.09 《京都府福知山市大江町の“元伊勢”参拝》
「お伊勢さん」が今の場所…すなわち、三重県伊勢市に鎮座したのは太古の昔に遡ります。『日本書紀』によると、内宮が第11代 垂仁天皇の御代、外宮が第21代 雄略天皇の御代の創建ということなので、それぞれ約二千年、千五百年の歴史を有するのです。
しかし、伊勢の地へ遷る前にも神社はあったわけで、そこが「元伊勢」と呼ばれる地──。
天照大神から神託を受けた豊鋤入姫命が但波(丹波)の吉佐宮(ヨサノミヤ)で四年間、天照大神を奉斎したとされる所。
現在、元伊勢に比定されている場所が、京都府宮津市にある籠神社(コノジンジャ)の奥宮にあたる真名井神社(マナイジンジャ)と、京都府福知山市大江町にある皇大神社(コウタイジンジャ)と、京都府京丹後市丹後町にある竹野神社(タカノジンジャ)、そして京都府舞鶴市にある笶原神社(ヤハラジンジャ)と、四ヶ所もあるのです。
私はこれまで丹後国一之宮の籠神社と竹野神社には何度か参拝したことがあったのですが、笶原神社と皇大神社には一度もお詣りできずにおりました。
が、先日、大江町の皇大神社に初めて参拝する機会を得た次第。
京都府福知山市大江町は、以前は加佐郡大江町でしたが、2006(平成18)年1月1日に天田郡の三和町・夜久野町とともに福知山市に吸収合併され、町の独自性が薄まってしまいました。
しかし、ここは大江山の酒呑童子伝説で知られる歴史の宝庫☆ そして、大江町には皇大神社を含めて「元伊勢」と称されるお社が三つもあるのです!
すなわち、元伊勢外宮・豊受大神社(トユケダイジンジャ)、元伊勢内宮・皇大神社(コウタイジンジャ)、天岩戸神社(アメノイワトジンジャ)の三社。これらが合わさって「元伊勢三社」と呼ばれているとのこと。
ちなみに、地元の人は「げくう」「ないくう」と言わずに「げく」「ないく」と呼んでいるのだとか。
まずは、「げくさん」こと、豊受大神社に参拝。
とても静かな社叢で、清々しい気持ちになります。
節分の深夜に龍が灯明を献ずるという言い伝えがある龍燈の杉。樹齢およそ1500年とのこと。
歴史の深さを感じるのですが…境内のいたる所に朽ちかけた祠があり、本殿には「運営維持が限界」という京都新聞のインタビュー記事が貼られてありました。
宮司の河田光稔さんとお話しすることができ、「奉賛者の方々の減少により、社殿の屋根の葺き替えもできない」窮状を知りました。「700万円集まれば改修工事ができるのですが、200万円で止まってしまっているのです。私の力不足なのですが…」とのこと。「じゃあ、私が500万円出しましょう」と言う潔さもなく、「僕も微力ながら応援します。がんばって下さい」と言って、豊受大神社をあとにしました。
「元伊勢」と言われながらも運営は大変なんやなぁと、感慨に耽りながら「ないくさん」こと、皇大神社に来てみると──。
参道も綺麗に掃き清められており、すがすがしさと敬虔さが自分自身に備わります。
ご祭神は天照皇大神(アマテラススメラオオカミ)。脇宮として左右に天手力雄命(アマノタジカラオノミコト)と栲機千々姫命(タクハタチヂヒメノミコト)が祭られています。これも伊勢の内宮と同じです。
但し、このお社は別の社務所(天皇神道)の管轄であるとのこと。
そこから坂を少し下った所にある小さな池に祀られた天龍八岐龍神社へ、私は引き寄せられるように近づき、ゆっくりと参拝☆
水と光のハーモニーに龍神さまの出迎えを感じずにはいられませんでした。
たまたま、皇大神社の宮司でいらっしゃる大林八十彦さんと出逢い、いろいろとお話しを聞くことができました。
「内宮さんの運営は余裕がありますね」との私の問いかけに、「いやぁ、大変でっせ」と笑顔で即答。
そして、「元伊勢」の意味を丁寧にご教授下さいました。
なんと、近畿地方の神社を結んでできる五芒星の図や、日本のレイライン(Lei-line)の地図まで出して来られ…☆ 凄い! 感謝。
その後、宮司さんオススメの天岩戸神社へと向かいました。
しばらく歩くと、ピラミッド型の山に遭遇!
「日室岳(ヒムロダケ)」と言って、原生林に覆われた神霊降臨の禁足地なのだそうです。
そして、ここは「一願さん」と呼ばれる遙拝所。実に神々しい!
そこから程近い所に「天の岩戸」がありました。
鎖を持って、ちょっとしたロック・クライミング気分( ^-^)
いやぁ、大江の元伊勢は面白い!
実は、内宮さんにはまだまだお社があるのです。
奇岩窓神(クシイワマドノカミ)と豊岩窓神(トヨイワマドノカミ)を祭る御門神社(ミカドジンジャ)や、厩戸皇子の弟である麻呂子親王が植えたとされる麻呂子杉や、五十鈴川などなど…。
直感的に思ったのですが、宮津の籠神社奥宮の真名井神社が「元伊勢・外宮」で、大江の皇大神社が「元伊勢・内宮」ではないかと。
いやいや、舞鶴の笶原神社にも行かねばなりません。
またしても、古代のロマンにのめり込んでしまいそうな私です。