2021.12.30 《2021年を振り返って》
今年も、あっという間に一年が過ぎ去りました。歳を重ねるにつれ、人生の中の一年の割合が小さくなるのですよね。今の私は1/63。
でも、振り返ると、いろんなことがありました。毎年暮れになると、物故者のお名前がニュースで掲示されますが、今年は噺家の訃報が相次ぎました。
上方の落語界は笑福亭仁鶴師匠の訃報(2021年8月17日逝去)で悲しみに包まれました。実は、仁鶴師匠は四年前にご夫人が他界されてから仕事への気力を失われてしまったのです。それほど「隆子姫」を愛しておられたのです。
私が初めて仁鶴師匠宅を訪ねた時、ある失態(いずれまた申し上げます)をしでかしたにも拘らず、奥様の温かいお言葉により空気が和み、師匠の爆笑を誘うにまでなり、それ以降、(信じられないでしょうが)結構ホンネで話し合える関係を築くことができるようになったのです。最愛の奥様を亡くされてからの寂しいご様子は察するに余りありました。今は天上界で奥様と穏やかに過ごされておられることでしょう。
また、米朝一門では鳥取県米子市出身の桂小米さんが4月26日に喉頭癌でお亡くなりになりました。小米兄さんは私が小学5年生だった時に米朝宅にやって来られました。山陰訛りを大阪弁に直すため、足繁く文楽(義太夫節)を聴きに行かれ、あっという間に流暢な大阪弁で喋られるようになったのを、子供心に憶えています。師匠・米朝と一番よく酒を酌み交わした人でもあります。今は天上界で師匠と楽しく酒盛りをされていることでしょう。
ここ数年、上方の噺家が次々と他界しましたが、2021年に限っては江戸落語の師匠方が相次いでお亡くなりになりました。
柳家小三治、三遊亭圓龍、川柳川柳、三遊亭圓丈、立川らく朝、三遊亭多歌介、柳家紫文…。(敬称略)
小三治師匠には夏の「宗助改め、二代目桂八十八襲名披露公演」に花を添えて頂いたばかり。心より感謝申し上げます。
先達の皆様のご冥福をお祈り申し上げます✨
米團治 拝