2022.12.28《「十三代目 市川團十郎白猿」襲名披露興行 》

歌舞伎界の大名跡「市川團十郎」が復活しました。海老蔵さんが十三代目として襲名。今回は代々の隠居名(俳号)である「白猿」を看板につけての公演です。

歌舞伎座にて11月・12月と演目を変えて、二ヶ月にわたる襲名披露が執り行われました。しかも、その前に二日間だけの特別公演があったのです。観世清和さん観世銕之丞さんをはじめとする能楽師の方々による『神歌』に始まり、「顔寄せ手打ち式」を舞台で行い、片岡仁左衛門丈の冨樫、坂東玉三郎丈の義経、市川團十郎丈の弁慶による『勧進帳』が披露されました。この襲名披露興行が如何に大きなことであるのかが判ります。

私は12月公演を昼夜とも観劇する機会を得たのですが、どちらも大満足! 偉そうに言いますが、「コロナ」で二年以上延期されたことが、海老蔵さんを多方面で成長させたのではないかなと感じた次第です。特に、夜の部の『助六』は凄かった。團十郎丈の助六に語りかける玉三郎さん扮する揚巻の一挙手一投足にしびれました。古式に則って、口上から始まり、細かな場面も省略せずに演じられ、二時間近くに及ぶ一幕でしたが、少しも退屈することなく、江戸情緒を堪能! 江戸時代にタイムスリップしたようなひとときでした。

襲名披露公演は、当然のことながら、大勢の名代の役者さんが主役を盛り立てている様子が微笑ましく目に映ります。どの名代さんも素晴らしかったけれど、特筆すべきは中村勘九郎さん。『二人道成寺』では妖艶ながらもおきゃんな白拍子を演じ、『助六』では実に楽しい白酒売りの新兵衛を見せてくれました。NHKのテレビドラマの「忠臣蔵狂詩曲No.5」でも真に迫る中村仲蔵を演じた勘九郎さん。弟の七之助さんと共に、次の歌舞伎界の一翼を担うのは「間違いなく中村屋だな」と確信しました。

そうそう、成田屋のお身内でも、勸玄くんが新之助を襲名し、『外郎売』と『毛抜』に微笑ましく登場。そして、お姉ちゃんの市川ぼたんさんが舞踊で『近江のお兼』を好演。小学生とは言え、女性が主役として歌舞伎座の一幕を担ったのは歌舞伎界への大きな問いかけだと思います。

※…2021年11月6日に平安神宮で行われた「市川海老蔵特別公演」の感想⬇️

お父さまの優しくて大きな薫陶を受けた十三代目市川團十郎白猿 ——— 。彼は間違いなく次代の歌舞伎界の旗手となることでしょう。

追伸

歌舞伎座地下の木挽町広場の「とろろ蕎麦」は美味でした😋